日本の各地点の オゾン全量 の時系列推移を確認します。データ出所は気象庁です。
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始めに用語の定義を確認します。
地表から大気上限までの単位面積の気柱に含まれる全てのオゾンのことをオゾン全量といいます。観測されたオゾン全量は、1気圧、0℃として地表に集めた時にできるオゾンだけからなる層の厚さで示され、単位はm atm-cm(ミリアトムセンチメートル)またはDU(ドブソンユニット)で表記されます。 例えば、オゾン全量が300m atm-cmで観測された場合、大気中に含まれるオゾン全てを1気圧、0℃の地表に集めると3mmの厚さに相当するということを示します。
出典 : https://www.jma-net.go.jp/kousou/obs_third_div/ozone/ozone_toz.html
オゾン全量の月平均値の算出に用いる日別値は、2018年2月1日に観測機器をドブソン分光光度計からブリューワー分光光度計に変更したことにより、2018年2月1日より前では日代表値、それ以降は日平均値となります。日代表値とは、その日に行われた全ての観測の中で最も観測精度が高いと判断される観測値です。
出典 : https://www.data.jma.go.jp/env/ozonehp/ozone_monthave_tsu.html
ブリューワー分光光度計は、1973年にBrewerにより考案開発され、カナダ気象庁とトロント大学によって現形式が開発されました。屋外(全天候型)で精密な自動観測が可能な測器であることから、世界100以上の観測点で利用されています。
出典 : https://www.jma-net.go.jp/kousou/obs_third_div/uv/uv_bre.html
時系列推移を確認する 地点リスト は以下のとおりです。
1. つくば(舘野)
始めにつくば(舘野)観測所(Figure 5 参照:https://www.data.jma.go.jp/env/ozonehp/5_0station.html)におけるオゾン全量の月平均値の時系列推移(1957年06月から2024年07月)を確認します( Figure 1 )。
1957年06月から2024年07月 までのオゾン全量の月平均値は 253から392 m atm-cm の間で推移しており、同図中の青色実線は線形回帰線になりますが、Listing 1 のとおり有意(5%。以降同様)な線形関係は見られません。
続いて自己相関関数を確認しますと(Figure 2)、12か月周期の明確な季節性が見られます。
そこで月別の箱ひげ図を確認しますと(Figure 3)、毎年3月をピーク、10月をボトムとするような周期性が見られます。
続いて Figure 4 は月平均値を年毎に合計して求めた年平均値の時系列推移(1958年から2023年)、青色実線はLOESS回帰線、赤色実線は線形回帰線です。
なお、LOESS回帰線の最適スパンは Listing 2 により求めています。
同図のLOESS回帰線を確認しますと、1995年頃から2007年頃までオゾン全量年平均値は増加傾向にありますが、それ以降は低下傾向にあり、対象全期間をとおした線形回帰を確認しますと Listing 3 のとおり、分散の大きい増減を繰り返しながらも低下傾向にはあるようです。
以上です。