UVインデックス の時系列推移を確認します。
データ出所は気象庁、対象は 2005年01月から2024年07月 までの 月次UVインデックス、対象観測所は つくば と 昭和基地 です。
なお、以降の用語の定義等は全て
https://www.data.jma.go.jp/env/uvhp/3-50uvindex_manual.html を引用参照しています(以降「UVインデックス資料」)。
始めに UVインデックスや紫外線等に関する用語や定義等 を UVインデックス資料 を引用参照して以下に列記します。
- 紫外線 は波長により、A領域(UV-A:波長315nm-400nm)、B領域(UV-B:波長280nm-315nm)、C領域(UV-C:波長100nm-280nm) に分けられる。
- Figure 1 の上図の細線は大気に入る前の 紫外線強度。大気中を進む間に、成層圏オゾンによる吸収や空気分子、エローゾルによる散乱などを受けてしだいに減衰し、地上では同図太線で示される強度になる。
- UV-B が短い波長ほど大きく減衰するのはオゾンによる吸収に起因する。
- さらに短い波長の UV-C は酸素やオゾンに完全に吸収され、地上では全く観測されない。
- 紫外線 の人体への影響度は波長により異なるため、人体に及ぼす影響を示す視点で 紫外線 の強さを表す指標が UVインデックス。
- CIE作用スペクトル(\(S_{er}\).波長毎の人体への相対影響度.式2) を地上で観測される 波長毎の紫外線強度(\(E_{\lambda}\).単位は mW/(㎡・nm)) に乗じた結果が、Figure 1 の下図で示す人体への影響度の視点で見た波長毎の強度。
- 人体への総合的な影響度はこの強度を 250nmから400nm に渡って積分することで求められる。
- 地上での290nm以下の 紫外線 は実質的にゼロと見なせるため、290nmから400nm に渡る積分で十分である。
- 積分の結果は 紅斑紫外線量(\(I_{CIE}\).CIE紫外線量.単位はmW/㎡.式1) と呼ばれるが、ここで 紅斑紫外線 とは、皮膚に赤い日焼けを生じさせる 紫外線 のこと。
- 紅斑紫外線量 を日常生活で使いやすい簡単な数値とするために 25mW/㎡ で除して(紅斑紫外線量 の単位がW/㎡の時には40を掛けて)指標化した結果が UVインデックス(\(I_{UV}\).式3)。
- 月次UVインデックス は 日最大UVインデックス(観測値) の 月平均値。
\[\begin{eqnarray} I_{CIE}&=&\displaystyle\int_{250\,nm}^{400\,nm}E_{\lambda}\cdot S_{er}\,d\lambda\tag{1}\\\\ S_{er}& =& \begin{cases} 1 & ( 250\,nm < \lambda < 298 \,nm ) \\ 10^{0.094(298-\lambda)} & (298\,nm\leq \lambda \leq 328\,nm )\tag{2}\\ 10^{0.015(139-\lambda)} & (328\,nm< \lambda < 400\,nm ) \end{cases}\\\\ I_{UV} &= &I_{CIE}/25\tag{3} \end{eqnarray}\]
【上図】波長別の紫外線強度。細線:大気外/太線:地表、【中図】CIE作用スペクトル、【下図】波長別紅斑紫外線強度
それでは最初に つくば の UVインデックス の時系列推移を確認します(Figure 2)。
なお、つくば観測所(Figure 7)、昭和基地観測所(Figure 8) の観測地点はぞれぞれの地図のマーカーの地点です。マーカーをクリックしますと、緯度、経度、標高 および 国際地点番号 が確認できます(出所:https://www.data.jma.go.jp/env/ozonehp/5_0station.html)。
Figure 2 中の 水平赤線 は UVインデックス が 2.4 のライン、Figure 3 中の「安心して戸外で過ごせます」とされている紫外線強度の上限です。なお、Figure 3 は小数点以下を四捨五入して整数で示されていますので、Figure 2 の 水平赤線 は UVインデックス=2.4 のラインとしています。
Figure 4、Table 1 は同じく つくば の 2005年01月から2024年07月 までの 計235か月 の 月次UVインデックス の月別箱ひげ図と月別基本統計量です。
UVインデックス的 には中央値を代表値とした場合 安心して戸外で過ごせる月 は 1月、11月、12月 になるようです。
月 | 平均値 | 中央値 | 最大値 | 最小値 | 不偏分散 |
---|---|---|---|---|---|
Jan | 1.8 | 1.80 | 2.1 | 1.6 | 0.01 |
Feb | 2.6 | 2.50 | 3.1 | 2.2 | 0.05 |
Mar | 3.6 | 3.60 | 4.0 | 3.3 | 0.03 |
Apr | 4.8 | 4.90 | 5.9 | 3.9 | 0.18 |
May | 5.8 | 5.70 | 6.6 | 5.1 | 0.17 |
Jun | 6.0 | 6.15 | 6.6 | 5.0 | 0.17 |
Jul | 6.9 | 7.15 | 8.4 | 5.1 | 0.77 |
Aug | 7.3 | 7.20 | 8.8 | 6.1 | 0.58 |
Sep | 5.4 | 5.30 | 6.3 | 4.7 | 0.26 |
Oct | 3.6 | 3.50 | 4.0 | 3.1 | 0.05 |
Nov | 2.3 | 2.30 | 2.5 | 2.1 | 0.02 |
Dec | 1.6 | 1.60 | 1.8 | 1.5 | 0.01 |
続いて 昭和基地 を確認します。
Figure 5 は 昭和基地観測所 の 月次UVインデックス の時系列推移。Figure 6、Table 2 は 月次UVインデックス の月別箱ひげ図と月別基本統計量です。
昭和基地 の場合、安心して戸外で過ごせるか否か は 紫外線 以外の要因の寄与が高いと思われますが、あくまでも UVインデックス的 には中央値を代表値とした場合 安心して戸外で過ごせる月 は 極夜 の時期を含む 3月から9月 になるようです。
以上です。
月 | 平均値 | 中央値 | 最大値 | 最小値 | 不偏分散 |
---|---|---|---|---|---|
Jan | 5.4 | 5.50 | 5.8 | 4.9 | 0.08 |
Feb | 3.2 | 3.25 | 3.7 | 2.5 | 0.13 |
Mar | 1.4 | 1.40 | 1.8 | 1.2 | 0.03 |
Apr | 0.4 | 0.40 | 0.4 | 0.3 | 0.00 |
May | 0.1 | 0.10 | 0.1 | 0.0 | 0.00 |
Jun | 0.0 | 0.00 | 0.0 | 0.0 | 0.00 |
Jul | 0.0 | 0.00 | 0.0 | 0.0 | 0.00 |
Aug | 0.3 | 0.30 | 0.3 | 0.2 | 0.00 |
Sep | 1.7 | 1.70 | 2.8 | 1.0 | 0.13 |
Oct | 5.1 | 5.00 | 6.9 | 3.6 | 0.66 |
Nov | 7.0 | 6.90 | 9.5 | 4.5 | 2.42 |
Dec | 7.0 | 6.80 | 9.0 | 5.7 | 1.28 |